健康診断について
健康診断のご案内
健康診断とは、診察や検査で健康状態を調べることで健康の維持や病気の予防、病気の早期発見に役立てることを目的とする「一次予防」です。
自治体や職場、学校などで行う健診や人間ドックなどと同様で、わんちゃんやねこちゃんの健康状態を把握し、生活習慣の改善や病気の予防のための対策などを考えていきます。
当院では基本となる健診セットの他、オプション項目の追加や単項目での検査もお受けしております。
年齢や体調の変化、また特定の病気がないか気になるなど、目的に合わせて内容をお選びいただけます。
とくに心臓や腎臓が気になる方には検診コースもご用意しております。
健康診断の内容
●:ライトコース
●:ベーシックコース
●:プレミアムコース
完全血球計算(CBC検査) | |||
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血液化学検査 | |||
腎機能バイオマーカー(SDMA) | |||
電解質 | |||
尿検査 | |||
レントゲン検査(胸部、腹部) | |||
エコー検査(心臓、腹部) |
- オプション項目
- 心臓病バイオマーカー(NT-proBNP)
- 腎機能バイオマーカー(SDMA)
- 尿蛋白検査(尿タンパククレアチニン比:UPC)
- 血圧測定
- 糖尿病マーカー(フルクトサミン)
- 甲状腺ホルモン検査(血清総サイロキシン:T4)
- 膵炎マーカー(膵特異的リパーゼ)
各項目の説明
健診コース内の項目
- 完全血球計算(CBC検査)
全身を巡る血液から体全体の状態を調べる基礎的かつ重要な血液検査です。赤血球や白血球の数を数えることで貧血や炎症、感染症の有無などを調べます。血液化学検査とあわせて行います。 - 血液化学検査
血液化学検査は、肝機能、腎機能、血糖、脂質などを数値化し、内臓の機能や代謝に問題がないかを調べます。 - 尿検査
尿比重、尿タンパク、尿糖などを検査し、主に腎臓病、糖尿病、尿石症、尿路感染などがないか調べます。とくに腎臓の機能を知ることができ腎臓病の早期発見には有用な検査です。
- レントゲン検査
X線を用いて胸とお腹の中を可視化し、内臓の形、大きさ、位置などが本来あるべき状態かどうかを確認します。あるべきものが無かったり(臓器欠損など)、本来無いものがあったり(ガン、胸水、腹水など)、本来の状態と異なっていたり(腫大、萎縮など)がないかを調べます。- エコー検査(心臓)
心臓の動きや血流の状態、心筋の厚みなどをリアルタイムで評価することができ、心臓の機能や構造的な異常がないかを調べることができます。心臓病の早期発見に非常に有用です。- エコー検査(腹部)
肝臓や腎臓といった臓器内部の構造、胃や腸などの動きといった臓器の機能などを評価することができます。またガンなど異常なものがないかを調べることに関しても非常に有用です。- オプション項目
- 心臓病バイオマーカー(NT-proBNP)
ANPとは血管拡張作用ならびにナトリウム利尿作用を持つペプチドホルモンで心房筋の進展刺激に反応して即座に血液中に放出されます。とくに左心房のうっ血兆候を反映するので犬の僧帽弁閉鎖不全や猫の心筋症などによる心房拡大などを知る手がかりとなります。 - 腎機能バイオマーカー(SDMA)
SDMAは対称性ジメチルアルギニンといい、その90%以上が腎臓から排泄されることを利用して腎臓の糸球体濾過量を調べることができる検査です。慢性腎臓病においてクレアチニンよりも早期に上昇することが知られており、腎臓病の早期発見に有用です。 - 尿蛋白検査(尿タンパククレアチニン比:UPC)
尿中のタンパクとクレアチニンを測定し、その比を算出することで異常なタンパクの漏出がないかを調べます。主に腎臓の糸球体傷害の有無や慢性腎臓病の進行具合、予後判定などに用います。 - 血圧測定
高血圧の有無を調べます。とくに心臓疾患と腎臓疾患においては病気の進行に伴い血圧が高くなり、身体に悪影響を及ぼすので治療が必要となります。 - 糖尿病マーカー(フルクトサミン)
フルクトサミンは採血時から2~3週間の間の血糖値の状態を把握することができる検査です。初期の糖尿病の診断に有用です。 - 甲状腺ホルモン検査(血清総サイロキシン:T4)
サイロキシン(以下T4)は甲状腺ホルモンの一つで主に新陳代謝を促進する働きがあります。犬ではT4の分泌が低下する甲状腺機能低下症、猫ではT4の分泌が増加する甲状腺機能亢進症が知られています。 - 膵炎マーカー(膵特異的リパーゼ)
膵特異的リパーゼはとくに膵臓に関わるリパーゼのみを調べる検査で膵炎の診断にとても有用です。膵炎は確定診断が難しい疾患ですが、レントゲン検査やエコー検査と併せて行うことでより診断の精度を上げることができます。
- レントゲン検査
検診のご案内
検診とは健康診断と違い、診察や検査である特定の病気があるか調べることを言います。病気を早期発見、早期治療することを目的とする「二次予防」です。
人の「がん検診」や「歯科検診」がこれに当たります。
ちなみに健康診断は、健康状態を評価することで健康の維持や病気の危険因子を早く見つけ予防や早期発見に役立てることを目的とする「一次予防」です。
当クリニックでは、犬猫ともに死亡原因の上位である「心臓病」「腎臓病」を早期発見するための検診コースをご用意しております。
この機会に大切なご家族である、わんちゃん、ねこちゃんの健康を考えてみてはいかがでしょうか。
心臓検診
心臓病がないかを調べるための検査を行います。
- 検診項目
・聴診
・完全血球計算(CBC検査)
・血液化学検査
・心臓病バイオマーカー(NT-proBNP)
・血圧測定
・胸部レントゲン検査
・心臓エコー検査 - どんな病気が分かる?
- 僧帽弁閉鎖不全症・・・特に小型犬に多い
チワワ、T・プードル、マルチーズ、キャバリア、ヨークシャーテリア、ポメラニアン、Mダックスフンドなど - 拡張型心筋症・・・特に大型犬に多い
ドーベルマン、グレート・デン、ボクサー、コッカー・スパニエルなど - 肥大型心筋症・・・特に猫に多い
メインクーン、ノルウェージャン・フォレストキャット、ラグドール、アメリカン・ショートヘアーなど - 先天性心疾患
動脈管開存症、心室中隔欠損症など
- 僧帽弁閉鎖不全症・・・特に小型犬に多い
- どんな子にオススメ?
・なりやすい犬種、猫種
・咳、ハアハアと荒い呼吸が増えた、好きだった運動をしたがらない、最近元気・食欲がないなどの症状がある子
・8歳以上の子
腎臓検診
腎臓の機能に異常がないか調べるための検査を行います。
- 検診項目
・完全血球計算(CBC検査)
・血液化学検査
・腎臓バイオマーカー(SDMA)
・尿検査
・尿蛋白検査(尿タンパククレアチニン比:UPC)
・血圧測定
・腹部レントゲン検査
・腹部エコー検査 - どんな病気が分かる?
- 慢性腎臓病
糸球体疾患・・・犬で一般的。猫は少ない。進行が早い。
尿タンパクが出る。高血圧が合併。
尿細管間質性疾患・・・猫で一般的。進行は遅い。
多飲多尿。 - 多発性嚢胞腎
腎臓にたくさんの嚢胞(組織内にできる液体の溜まった病的な袋状のもの)ができ、徐々に大きくなることで腎機能が低下する遺伝性疾患。
ペルシャ、アメリカン・ショートヘアー、スコティッシュフォールドなど - 腎腫瘍
リンパ腫、腎芽腫など
- 慢性腎臓病
- どんな子にオススメ?
・多飲多尿、体重減少、食欲低下などの症状がある子
・8歳以上の子
・なりやすい猫種(ペルシャ、アメリカン・ショートヘヤー、スコティッシュフォールドなど)
健康診断・検診を受診するまでの流れ
①健康診断もしくは検診の内容を決定
・健康診断の各コースもしくは心臓検診、腎臓検診、総合検診の中からご希望の内容をお選びください。
・ご要望や目的に応じてオプション項目を追加したり、項目を減らしたりすることも可能です。
・内容を決めるにあたり、事前に獣医師と相談することも出来ますのでお気軽にお問い合わせ下さい。
②事前に予約
・お電話もしくは受付にて事前にご予約をお願いします。
③健康診断・検診前の準備
・健康診断/検診を受ける際は前日の22時以降の絶食をお願いしております。
・検査終了後には食事が出来ますので、一回分のお食事も一緒にご持参下さい。
(ご持参されなかった場合はこちらでご用意もできます)
④健康診断・検診当日
・健康診断/検診の当日は来院前までお水を飲ませていただいて構いません。もし、前日の22時以降に食事をしてしまった場合は当クリニックまでご連絡の上、ご相談下さい。
・尿検査に関しては当日の朝、ご自宅で採取をしてご持参下さい。(事前にご来院いただければ容器をお渡しします。)
・半日お預かりにて実施しますので、ご予約いただいた時間(午前中)にご来院いただき、午後お迎えにお越し下さい。
⑤結果のご説明
・結果は7~10日後に獣医師から直接ご説明いたします。
・その際は飼い主様のみお越し下さい。
健康診断・検診に関する注意事項
- 事前にお電話もしくは受付にて必ずご予約をお願い致します。
- 健康診断・検診前日の22時以降は絶食でお越し下さい。
22時以降に食事を食べてしまった場合、予定している検査を受けられなくなる可能性があります。もし食事を与えてしまった場合は当クリニックまでご連絡下さい。 - 尿検査に関しては、当日の朝ご自宅で採取しご持参下さい。
採尿に関する詳しい内容は「尿検査に関して」のページをご参照下さい。 - ご自宅での採尿が難しい場合、健診当日にクリニックで直接採取することも可能です。
採尿方法は、圧迫法、カテーテル法、穿刺法がありますが、当クリニックでは主に穿刺法を用いております。当クリニックでの採尿を実施する場合は別途採尿料をご負担いただきます。また、当日尿が溜まっていないと採取ができないため、採尿のみ後日となることがあります。予めご了承下さい。 - エコー検査を行う際、より正確に評価をするため毛刈りを行う場合があります。予めご了承下さい。
毛刈りをご希望されない方は事前にお申し付け下さい。 - 安全に且つストレスを少なく健診を行うために、鎮静剤を使用することがあります。
その際の鎮静処置料は別途ご負担いただきます。予めご了承下さい。 - その他ご不明な点などございましたら当クリニックまで直接お問い合わせ下さい。
尿検査に関して
- 尿検査においてより正確な評価をするためには、尿を混入物のない液体の状態で採取し、常温で1時間以内、冷蔵で6〜7時間以内に検査を実施することが望ましいとされています。
それ以上経過した尿の場合、検査結果に影響する可能性があります。 - 検査当日の朝、ご自宅で採取をし、ご持参頂くとスムーズに検査を行うことができます。
また、当日の採取が困難な場合、前日までに尿だけご持参頂いても構いません。 - 当クリニックでは採取した尿をお持ち頂くにあたり、シリンジとキャップを無償でご提供しております。
事前にご来院頂ければ受付にてお渡しいたします。 - ご自宅での採尿方法
<犬の場合>
・お散歩で排尿する際、きれいなトレーなどで直接受け取る。
・ペットシーツを裏返しにし、表面に溜まった尿を採取する。
<猫の場合>
・トイレで排尿している時に浅く切った紙コップや小さなお玉などで採取する。
・システムトイレを使用している場合、一度トイレをきれいに洗浄し、トイレ砂を入れないあるいは必要最小限だけ入れ、何も入れずきれいにしたトレーをセットします。排尿後、トレーに溜まった尿を採取する。
※いずれの場合も、便や砂、ゴミなどが混入すると正確な評価ができなくなりますので可能な限りきれいな尿を採取下さい。 - 検査に必要な尿の量は5~10mlが望ましいです。
採取量が少なくても検査が可能なこともありますのでその際は当クリニックまでご連絡下さい。 - その他ご不明な点などございましたら当クリニックまで直接お問い合わせ下さい。
健康診断および検診の料金に関して
- 実際の料金に関してはお電話もしくは直接ご来院の上、お問い合わせ下さい。
- 健康診断および検診は通常ペット保険適応外となりますので予めご了承下さい。
- その他料金に関してご不明な点などございましたら当クリニックまでお問い合わせ下さい。